診療内容
薬剤の使用過多による頭痛
鎮痛剤の飲みすぎによる頭痛なので鎮痛剤を中止すればよいわけですが、なかなかそう簡単ではありません。当院では、予防薬を使ったり漢方薬や理学療法を使用したりしますが薬剤使用過多による頭痛の原因になる薬剤を屯服としてユニークに使用する方法があるのでそれを紹介させていただきます。
1.トリプタン製剤(片頭痛用の頭痛薬)と鎮痛剤(イブプロフェンなど)を使用する場合
週のうち二日はトリプタン製剤と鎮痛剤を使ってよい日を決めて、後の一日は鎮痛剤のみ使用してよい日を決めます。そして、もしこれらの薬剤を服用しなかったら、その週の終わりへと服用日を移動してください。つまり、週始めの日曜日の夜などに、今週は月曜日に子供の参観日があり木曜日は昼から食事会の約束があり日曜日は家族で食事などといった時に月曜日と日曜日はトリプタン製剤と鎮痛剤を、木曜日は鎮痛剤のみを飲んでよいと決めておくのです。 実際、トリプタン製剤と鎮痛剤を飲んでよいと決めた月曜日と日曜日に頭痛が来た場合は頭痛の起こり始めに飲んでよいのです。その時はトリプタン製剤と鎮痛剤を同時に飲んでいただき頭痛が軽快しない場合には二時間後に(アマージは四時間後)もう一度トリプタン製剤を飲んでよいのです。鎮痛剤は6時間から8時間おきに飲んでよいです。そして、月曜日に飲んでよいと決めていたけど頭痛がこなかった場合は、火曜日に移動してください。ただし、これらの日でトリプタン製剤を一錠のみ飲んだとしてもその日は一日頭痛薬を飲んだ日とカウントしてください。鎮痛剤だけ飲んだ場合でも一日とカウントされますが、鎮痛剤だけ飲んでよい残りの一日をトリプタン製剤と鎮痛剤のどちらも飲める日に変更が可能になります。
2.鎮痛剤のみの場合
片頭痛の要素が少ない薬剤の使用過多による頭痛の場合ですが、これも同様に週のうちの三日のみ鎮痛剤が飲める日を作ってください。
※それ以外の日はどうするか? 頭痛の起こり始めにコーヒーを飲んでみたりこめかみを押さえたり冷やしたりすることから漢方薬や頭痛に効果ある胃薬や筋肉の緊張を緩めるお薬を使用したり抗不安薬を使用したりします。頭痛がきても我慢すると決めていた日ですので比較的我慢できる方が多い印象です。
※これらを実行して市販薬などの屯服薬を飲まないようにすることができれば大体、三週間くらいで頭痛の頻度や程度が軽減し二ヶ月もたつとビックリするくらいに軽快するようです。
※2016.9.4ウェブ上に公表。本治療法は論文未発表であり私の知る限りはこれが最初の公表になると考えます。
薬剤使用過多にならないように漢方薬などを飲もう 川きゅう茶調散と五苓散の使い分け
1.川きゅう茶調散
風邪などの時に頭痛やめまいを感じる時に使用することから始まった漢方薬です。生薬(しょうやく→薬草などの一部を使用したもの)の中には香附子(こうぶし)と細辛(さいしん)というものがあり香附子は体を温めて頭痛を治し細辛は体力がない状態の時の頭痛を軽減します。体調不良の時や体を冷やした後の頭痛などは川きゅう茶調散がよいと言われます。
2.五苓散
水毒の時の症状を改善させる代表的な漢方です。水毒とは体の中の水やリンパ液の流れが悪くなった状態を指します。症状としては頭痛をはじめ、悪心嘔吐、めまいなどです。悪心嘔吐を伴うような頭痛あるいは天候が悪い時や乾燥・多湿の時の頭痛に五苓散がよいと言われております。
実際は様々な頭痛に効果あり千差万別の効用です。使用してみてどのような頭痛ではどの漢方を使ったら効果がでるかご自分で経験してみてください。
(例)軽い時は川きゅう茶調散で重い時は五苓散で、生理に関連した頭痛は川きゅう茶調散でそれ以外は五苓散で
その他
プリンペラン(メトクロプラミド)
胃薬ですが嘔気を伴う片頭痛に効果あると言われております。嘔気がなくても片頭痛発作の始まりに効果あります。また他の頭痛薬を飲む前や飲む時に内服することで消化管の動きを改善させ頭痛薬の効果を増大させる作用があります。
ミオナール(エペリゾン)
筋弛緩薬です。と言っても効果は弱く筋力低下や呼吸ができなくなることはありません。人により副作用の眠気だるさがでるので夜や就寝前に飲むとぐっすり眠れて起床時の頭痛や肩こりが緩和されます。眠気がでない方は日中朝昼夕食後といった具合に飲んでも差し障りございません。
上記薬剤の大きな特徴は飲み過ぎても(日に5包・5錠以下)薬剤の使用過多による頭痛になることはございません。薬剤の使用過多を防ぐためには最適の処方と思われます。