診療内容
脳神経内科について
脳神経内科とは、脳・脊髄・自律神経・末梢神経・筋肉において起きる様々な病気に対して、手術を行うことなく、生活習慣の見直し、投薬・リハビリなどの内科的アプローチで症状の改善を目指す診療科です。
脳神経内科で扱う症状は複雑多岐にわたり、どの診療科で診てもらえばよいのか、一般の方々ではなかなか判断がつかないことが多いと思います。
そこで脳神経内科で扱う代表的な症状を、下記のようにおおまかにまとめてみました。
少しでも「この症状って脳神経科で診てもらえばいいの?」と思われている方の参考になればと思います。
脳神経内科で扱う主な症状
まひ・しびれ・ろれつが回らない(脳梗塞・脳血栓・脳出血)
- 朝起きたら片方の手足だけ思うように動かなくなった
- 体のしびれがとれない
- ろれつが回らなくなった .....など
めまい・ふらつき・嘔吐
(脳梗塞・脳腫瘍・良性発作性頭位めまい症・メニエール病等)
- 慢性的なめまい
- すぐふらふらする
- 吐き気、もしくは嘔吐を繰り返す .....など
頭痛(片頭痛[偏頭痛]・緊張型頭痛・群発頭痛・薬剤の使用過多による頭痛・くも膜下出血・脳腫瘍・その他の二次性頭痛)
- 慢性的な頭痛
- 今まで経験したことのない頭痛
- 吐き気・めまいを伴う頭痛
- 頭痛で目が覚める .....など
眼瞼・顔面のけいれん(片側顔面けいれん・眼瞼けいれん・痙性斜頸)
- まぶたや顔がピクピクする .....など
日中のねむけ(睡眠障害・睡眠時無呼吸症候群・脳症など)
- 車を運転していて急に眠くなる
- テレビを見ていて眠くなる
- いびきが強い・無呼吸がある
- 夜間なんども目覚める .....など
ふるえ・手足のこわばり・脱力(パーキンソン病など)
- 年をとって手が震えるようになった
- 動作が遅くなった
- 手足に力が入らなくなった .....など
以上のような症状が脳神経内科で扱う代表的なものです。
命に関わる重大な疾患のケースも多く、いずれも早期の「的確な診断」と「治療の開始」がとても重要になります。
上記のような症状でお悩みの場合は、まずはお気軽にご来院いただき、受診されることをオススメします。
- [早期受診 & 治療が奏功した例]
- 2006年私どもが県立広島病院で働いていたころ、初診で小刻み歩行・緩徐歩行・指振戦・小字症といったパーキンソン症状を呈した患者が来院され、患者さんはパーキンソン病でなく橋本脳症であると診断したことがあります(Neuroclogical science 33:395-397,2012)。患者はステロイド治療で即日に軽快しました。
- 腹痛と歩行障害を主訴に某総合病院に受診し原因不明だった患者さんが翌日に下肢脱力を主訴に私の外来に来院されました。なんとパルボウイルス感染による前脊髄動脈症候群でした。抗血小板治療やステロイド治療で現在はスポーツもできる状態に回復されております。
- アルツハイマー病と診断されていた患者さんが実は神経梅毒でありペニシリン治療にて完全治癒となったことがあります。
- 下垂足により歩行障害を呈していた患者さんを電気生理的検査により頸髄症によるものと診断しました(通常は腓骨神経麻痺や末梢での障害がほとんどで頸髄症はまれ)。患者さんは手術後下垂足が軽快されました。
- [新たな治療]
- 広島大学病院時代に開眼失行(不随意運動のため目が開けれずに機能的失明状態になる)の患者さんに対して眼瞼周囲のリオラン筋にボツリヌス毒素を注射することで症状の緩和を認めることを統計学的に実証して報告しました。(K Inoue, J Rogers. Eur Neurol 2007;58:138-141)
- メイジュ症候群(眼瞼けいれんを含む不随意運動)の患者さんには抑肝散の漢方薬が効果あると執筆しました。以後国内で抑肝散の処方の適応に眼瞼けいれん・頚性斜頸を適応とする流れがでてきました。(今日の治療指針2010年版)