診療内容
めまいの症状
めまいの症状は、ぐるぐる目まわる回転性めまいと、ふわふわふらつく浮動性めまいとくらっとする立ちくらみのようなめまいに大きく三つに分類されます。
回転性めまい
- 症状
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- 自分自身がぐらぐらまわっている感じ
- 周囲がぐるぐる回っているように見える
- 物が左右や上下に流れるように感じる
- めまいに伴う症状
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- 音が聞こえづらい(難聴)
- 耳が詰まったような感じ(耳閉感)
- 耳鳴りがするなど
- 特徴
- 急に発症し、吐き気・嘔吐・難聴などの症状を伴うことがあります。回転性めまいの多くは耳の異常が原因で起こりますが中には脳梗塞でも起こったり、放置すると難聴になるものもあります。
浮動性めまい
- 症状
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- からだがふわふわした感じでふらつく
- まっすぐ歩けない
- 姿勢を保つのが難しい
- めまいに伴う症状
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- 頭痛
- 顔面や手足のしびれ
- 運動まひなど
- 特徴
- 急に、あるいは徐々に症状が出現し、ふわふわ揺れる感じと、頭痛やしびれ、運動まひなどの神経に関係する症状を伴うことがあります。浮動性めまいの多くは脳の異常が原因で起こります。
立ちくらみのようなめまい
- 症状
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- 立ち上がるときにくらっとする
- 時に目の前が真っ暗になる
- 失神を伴う
- 特徴
- 立ち上がるとクラッとしたり、目の前が暗くなったりするめまいは、血圧の変動に関係する全身性の病気が原因として考えられます。
めまいの原因
耳の異常が原因の場合
- 良性発作性頭位変換性めまい(BPPV)耳石(じせき)の侵入
- 頭を動かした時に回転性のめまいが起こることが特徴です。内耳(ないじ)の前庭(ぜんてい)という場所にある耳石(じせき)がはがれ、からだのバランスを司る三半規管(さんはんきかん)の中に入りこんでしまうとめまいが起きます。耳石置換法という理学的治療も有効です。めまいが起きる動作を繰り返すことによりめまいが生じにくくなることも知られております。
- メニエール病 リンパの増加(内リンパ水腫)
- 内耳(ないじ)を満たしている液体である内リンパが増えすぎると内耳がむくみ、めまいが生じます。このような状態を内リンパ水腫(ないりんぱすいしゅ)と呼び、めまい以外に、難聴(特に低音域)や耳鳴り、耳閉感などの症状が出現します。非常に頻度の低い疾患で、メニエール病と一度診断されたことがある方でも他のめまい疾患であることが多いです。
- 前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)
- 三半規管などからのからだのバランスを保つ情報を脳へ伝達する前庭(ぜんてい)神経に炎症が起こると、正常に情報が伝わらずに、めまいが起こります。前庭神経炎は風邪をひいた後などに発症することが多く、ウイルス感染や血液の循環障害で炎症が起こるとされております。ステロイド治療に奏功することがあります。
- 外リンパ瘻(ろう)髄液の漏れ
- 髄液(脳を保護している液体)が、内リンパ腔に漏れるとめまいが生じます。めまい以外に、難聴な水が流れるような耳鳴りや、耳が詰まった感じ(耳閉感)などの症状があらわれることがあります。
脳の異常が原因の場合
- 脳梗塞・脳出血
- 脳梗塞や脳出血が起こると、小脳や脳幹(のうかん)に十分な血液が運ばれなくなり、機能不全をおこし、めまいが起こります。
- 椎骨脳底動脈循環不全
- 首から脳へとつながる椎骨(ついこつ)動脈と脳底(のうてい)動脈の血流が不足すると、脳に十分な血液が運ばれず、めまいが生じます。20から30秒続くことが多いです。
- 聴神経腫瘍・脳腫瘍
- からだのバランスを保つ情報を脳へ伝える前庭(ぜんてい)神経に腫瘍ができるとめまいが生じます。これは聴神経腫瘍という病気です。またそのほかの脳腫瘍でもめまいが起こります。
- てんかん
- てんかんによるめまいは、耳鳴りとともに揺れるようなめまいが15秒ほど続きます。めまいは自然に治ることも多いですが、時には手のふるえがでたり、全身のけいれんに至ることもあります。脳波と頭部MRI/CTなどの画像診断が必要になります。
そのほかの原因の場合
- 高血圧症
- 血圧が急に200mgHg以上上昇すると、頭がふーっとするなどのめまい症状が出現します。また逆に血圧を下げる薬などで血圧が下がりすぎると浮動性めまいが生じることがあります。
- 低血圧症
- 脳に届く血液の量が少なくなり、くらっとしたり、気が遠くなることがあります(起立性低血圧など)。起立性低血圧とは、座った状態から立ち上がった時に最高血圧が20mmHg以上低下するものを言います。
- 不整脈
- 心臓の動きが一瞬停止することによって脳に届く血液の量が少なくなり、くらっとしたり、気が遠くなることがあります。
- 低血糖症
- 血液中の血糖値が減少し過ぎると、ふらつくことがあります。
- 心因性めまい
- ストレスが続く、不安ごとや心配事が多いなどでもめまいを呈することがあります。めまいは浮動性が多いですが回転性もありで一定ではありません。めまい以外の症状として眠れない、食欲不振、便秘、肩こり、抑うつ状態などがあったり手足がふるえやしびれなど様々な症状を呈します。抗不安薬や漢方治療が奏功します。
- 頸性めまい
- 多くは、首を回したり、伸ばしたりする時に出現するめまいです。これは首の骨や筋肉、靱帯の異常によるものとされておりますが大脳機能不全による姿勢異常も問題になっております。リハビリテーション指導が有効です。
めまいの検査
問診
いつからどのように起こったか、どれくらい続いたか、めまい以外の症状はなかったかなど当院の看護師と医師から詳しい症状を聴いていきます。問診により、めまいの原因を探り、検査法を選択していきます。
全身理学的検査・神経学的検査
貧血の有無・甲状腺の肥大の有無・聴診などで心疾患の有無などをみたり、目の動きをみたり四肢の動きや歩行などを見ます。
眼振(がんしん)検査
めまい発作時には眼球は激しく揺れ動くことがあります。この動きを眼振(がんしん)と呼んでいます。この検査では、物を見つめない状態、見つめた状態、頭位を変えた状態などで眼振を観察します。特に必要な方には赤外線カメラを使用した眼の動きの観察をします。検査の時に姿勢を替えたりして治療法を追加することもあります。
重心動揺計検査
体のバランスを見る検査です。平地での開眼と閉眼を行い、次にクッションの上での開眼と閉眼を行います。これにより末梢性めまいと中枢性めまいなどを鑑別していきます。
聴力検査
原因が耳の異常かどうかを調べる検査です。低音、高音などの音の聞こえるレベルを記録します。
画像検査(CT・MRI)
原因が脳の異常であるか内耳神経という聴力や平衡機能に関連する神経の圧迫や腫瘍性変化がないどうかなどを調べる検査です。脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、血管神経圧迫などの存在を確認します。
脳波検査
てんかん発作によるめまいを疑う場合に施行します。